Concept コンセプト
私の作品は”ギャップ”を元に幾つかの要素で構成される。
それは日本固有のアートを表現する。
作中の人物の筋肉や肉体美は、セクシャリティへのコンプレクス、または肉体的・精神的弱さから脱却された状態を表す。
かつて私は日本特有の閉鎖的な性文化により抑圧された自身のセクシャリティの解放を自然と望み、まだティーンの頃にジェンダーフリーとなった。それは最近日本で新しく登場したファッション的な意味の国産造語である”ジェンダーレス”とは違い、心身ともにジェンダーの区別を無くしてしまいたいという気持ちからであった。すー”Sue”(Sueは海外で女性名)という名はそこから由来される。
実際にはホルモン薬の力で私自身が元の性別(男)から女性化した。しかしその結果、健康被害による肉体的限界から止む無く中断し、再び男性化してしまった。
セクシャリティの自由を失った私は今度は男性としての魅力を追求した。そして男性の力の象徴である”筋肉”をビルドしマッチョ化して、肉体的・精神的弱さを克服することにした(今現在も継続中)。以上の体験から作品に女性の顔とはアンバランスなマッスルボディのギャップを生み出す。
そのことは、つまり私の作中の人物は自身の理想のキャラクターであり、自己投影されたアバターであることを意味する。そしてそのアンバランスなギャップは私の人生そのものなのです。
また、”ギャップ”は日本文化にも色濃く存在している。
日本は伝統のクラシックとテクノロジーのモダンが強烈にハッキリと共存している場所。つまり文化の中にギャップが色濃く存在している。 それは古いものと新しいもののギャップである。
そういった環境で育った私の中にも二極化した極端な感性が生まれる。
特に私の育った神奈川は鎌倉という街に寺院、神社も多く、また日本の中でも人口は第2位の都市で、まさに伝統とテクノロジーの共生区間と言える。
ギャップは私の中に自然と取り入れられた。
そして私の人物画はリアリティから離れたファンタジーを得意とする現代の日本を示唆する。
全てがリアルではなく、写実主義と抽象表現主義あるいは浪漫主義のような相反した要素が介在する。ギャップはここにも在る。
幕末までの日本美術は浮世絵、木版画、漫画などに代表されるような唯一の国風文化であったが敗戦後、西欧産業・文化を吸収し日本美術もハイブリッド化した。
日本が再生できた理由は、ファンタジーというファクターがあったからではないか。
人類史上初の原子爆弾による壊滅的敗北に陥った唯一の被曝国である日本がescapism(現実逃避)の手段としてサブカルチャーに代表されるファンタジーを生み出したのかもしれない。
私の絵画でリアルとファンタジーのハイブリッドが表現するものは、西洋文化の生み出したリアリティと我が日本が得意とするMangaやアニメ、ゲームなどのescapism(現実逃避)なファンタジーという和洋折衷の織り成すギャップなのです。
そして、これら全てを統括して私のアートの行く末。
青年期のアンダーグラウンドな環境から脱し、中性としてジェンダーの区別を超え、後にマッスルビルドし身体的脆弱性を克服した私。
その私が創り出すアートの最終形態は、”現代版仏画”とも言えるような絵画の役割を超えたもの。そこに在るだけで解脱されるような神秘的なものへと昇華していくことです。
Works
. *全ての作品を表示しているわけではありません。
*I do not have to display all works.